ロゼッタ・ストーンに書かれたヒエログリフ(聖刻文字)はなかなか読めなかったのだが、1813年、ついにフランスのシャンポリオンが解読して、古代エジプト研究が大きく進展したのはあまりにも有名な歴史的エピソードである。
ヒトゲノム計画ではヒトのDNAをロゼッタ・ストーンとして、われわれがもっている全遺伝子の種類と内容を読み解こうとしている。
こんなたとえで計画の性質を説明する研究者もいるほど、手探りに次ぐ手探りで進めてきた大計画である。
発案したのは例によってアメリカだが、ほどなくヨーロッパ各国や日本なども加わって国際的な研究となった。
よくいえば壮大だが、悪くいえば手間ばかり食う計画だけに、コスト面も含めて遂行が心配されていた。
しかし、計画が進むにしたがって解析技術が発展し、それにともなうコストの低下にヒトだけでなく、あらゆる生物がもっている″ひとそろいの遺伝情報(全遺伝情報)″のことを「ゲノム」と呼んでいる。
1つの細胞のなかには、母親から譲られた23本の染色体と、父親から譲られた23本の染色体が、受精によってそれぞれペアとなった23対の染色体がある。
そのなかで、大きい順に並べて一番から22番までの染色体は、男でも女でも同じ大きさ同じ内容なので、常染色体と呼ばれる。
対をなしている2つの染色体には、原則として同じ種類の遺伝子が乗っているはずだが、その性質は塩基配列によって決まるので、同じ場合も多いが、ときによっては異なる場合もある。
遺伝形質として現われたとき、一方の性質だけが明らかになるのが優性遺伝で、1つだけでは形質となって現われず、対になる遺伝子が同じ性質となって初めて現われるのが劣性遺よって、ゴールが見えてきたといわれる。
日本におけるヒトゲノム計画の代表的な推進者の1人である、大阪大学細胞生体工学研究センター長のM教授によると、「各国で猛烈なスピードで研究が行われていて、2002年までには全配列の約60パーセントがそろうといわれている」そうだ。
具体的には、どのような方法によってヒト遺伝子の解析が進められるのだろうか。
そして配列が読めると、どんなメリットが生まれるのだろうか。
23番目の染色体だけが、性を決定する要素をもっているため性染色体と呼ばれて、大きめのX染色体と小さめのY染色体の2種類に分かれる。
Xが対になっているのが女(メス)で、XとYでペアを組んでいれば男(オス)となる。
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